油圧アクチュエーターとは

1.油圧技術とは

油圧技術とは、潤滑性のある作動油(動力を伝達する媒体である液体、石油系作動油が多い)を用いて、ある場所から他の場所へエネルギーを伝達する技術のことです。

2.油圧回路の概要

油圧技術において用いられる油圧装置は、油圧ポンプ、油圧制御弁、油圧シリンダなどの油圧機器、およびそれらを接続する管路などで構成され、構成された装置で油の流れる流路を示した回路を油圧回路と言います。

油圧回路の内部では、油が流れており、その流れによって例えば油圧シリンダのピストンが動かされ外部へ仕事がなされます。そのため油圧機器や油圧回路を設計する際に、回路の内部の油の流れの状態を把握し、設計・開発することが重要になります。

3.油圧方式

油圧技術の発達により、近年多くの産業分野で油圧技術が用いられていますが、油圧式を機械式や電気式と比較した場合の長所と短所は下記の通りとなります。

<長所>

  • 大きな力を発生する。
  • 大動力を伝達する場合の制御性は優れている。
  • 発生熱を容易に除去できる。
  • 良い剛性を保持している。
  • 負荷の保持が容易である。
  • アクチュエーターの位置決めが容易である。

<短所>

  • 流れのエネルギー損失が生じる。
  • 油中のごみに注意が必要である。
  • 油の温度に注意が必要である。
  • 空気の混入に注意が必要である。
  • 環境の汚染に必要である。
  • 破裂の危険性に注意が必要である。

4.油圧アクチュエーターとは

油圧アクチュエーターとは、重量物を移動させたり、押しつぶしたりする際に使用する油圧機器のことです。油圧モーターや油圧シリンダ、揺動形アクチュエーターに分類できます。

4-1.油圧モーター

油圧モーターは、高速用と低速高トルクに分類されます。一般に、チェック弁を使用していない形式のポンプは、吐出し側と吸込み側を逆にすれば油圧モーターとして機能します。

回転式および往復式の高速用のモーターの構造は、ポンプの構造と同じになります。油圧モーターの用途として低速、高トルクを要求される場合が多く、低高速トルクモーターの中で多く用いられているラジアルピストンモーターは油圧モーターとして重要です。

4-2.油圧シリンダ

油圧シリンダは単動形シリンダと複動形シリンダに分類することができます。単動形シリンダでは、一方向を油圧の力で動かし、戻り方向は外部の機械的な力で動かします。複動形シリンダでは両方向のピストンの動きを油圧の力で動かします。

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書籍『流体工学に基づく油圧回路技術と設計法』