パワーエレクトロニクスとは

1.パワーエレクトロニクスとは何か

パワーエレクトロニクスとは、パワー半導体デバイスを用いた電力を変換する技術のことを言います。スマートフォンやノートパソコン等の身近なモバイル機器から産業機器、電力系統まで、電力を必要とするありとあらゆる所で利用されている技術です。

2.パワーエレクトロニクスを取り巻く環境

パワーエレクトロニクスは近年、特にその重要性が高まっています。主な契機として、再生可能エネルギーの大量導入、リチウムイオン二次電池の登場、モノの電動化などが挙げられます。

太陽電池パネルの低コスト化と固定価格買い取り制度により太陽光発電は急速に普及し、多くの家庭や商業施設が電力変換器の一種であるパワーコンディショナを保有するようになりました。

リチウムイオン二次電池の登場によりモバイル機器の駆動時間は飛躍的に向上し、今では一人で複数台のモバイル機器を持ち歩くことも珍しくありません。モバイル機器に不可欠な充電器やアダプタは電力変換器であり、一昔前の製品と比べて大幅に軽量化されました。

自動車は電動化され、リチウムイオン二次電池の性能向上により電気自動車の航続距離は飛躍的に拡大しました。先進国のみならず新興国でも電動車両の販売台数は増加しており、従来のガソリン車から電気自動車へと急速にシフトしています。

現在では多くの企業が電気自動車の開発と性能向上にしのぎを削っており、大衆車クラスで50個、高級車では100個以上のモーターが搭載されますが、これらを駆動するインバーターも電力変換器の一種となります。

バッテリーをエネルギー源とする電気自動車ではあらゆる車載機器で電力変換器が必要であり、電気自動車はパワーエレクトロニクス技術の塊と言っても過言ではありません。

3.パワーエレクトロニクス分野の課題

電力変換器の高効率化と小型化に対する要求は高まっています。電力変換効率については、既に多くの製品で90~95%を達成しており、今後技術革新があっても大幅な効率改善は見込めません。

それに対し、電力変換器の小型化については十分な余地があり、パワー半導体デバイスや受動素子の性能向上、新規回路方式ならびに制御技術の開発とともに日進月歩で着実に電力変換回路の小型化が進んでいます。今後は、電力変換効率を落とさずに以いかに小型化を実現するかが重要になると考えられています。

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書籍『パワーエレクトロニクスにおけるコンバーターの基礎と設計法』

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書籍『パワーエレクトロニクス回路における小型・高効率設計法』