デジタル電源とは/スイッチング電源とは

1.デジタル電源とは何か

デジタル電源とは、デジタル制御技術を取り入れたスイッチング電源装置のことを指します。一方、アナログ電源とは、アナログ方式で制御するスイッチング電源のことを指します。またスイッチング電源とは、産業機器、民生機器、車載機器など様々な分野で使用されている電源装置のことです。

2.スイッチング電源の歴史

スイッチング電源は、1960年代の宇宙開発競争の中で発展を遂げてきました。1970年に入り、これまで軍事技術であったスイッチング電源は産業機器をはじめ、様々な民生品に内蔵されるようになり、近年では車載機器に適用される例も多くなっています。

2000年代に入ると、スイッチング電源のデジタル制御が注目されるようになってきました。しかし、当時のマイコン・DSP等はそれほど高性能ではなく、簡単なPID制御が実現できる程度でした。近年のマイコン・DSP等の著しい高性能化により複雑な制御がスイッチング電源で実現できるようになりました。

3.スイッチング電源の構成要素

スイッチング電源は、電力を取り扱うパワーステージと信号を取り扱う制御部に大きく分けられます。パワーステージは主にDCDCコンバータで構成され入出力の条件や電力容量によって適切な回路方式が選ばれます。

場合によっては、入力フィルタもパワーステージに含まれます。DCDCコンバータは半導体スイッチング素子、整流ダイオード、エネルギー蓄積素子、トランス等で構成されます。DCDCコンバータはスイッチング素子のオン時間とオフ時間の比率により出力電圧を調節します。スイッチング動作に伴う損失は従来の連続制御方式に比べ小さくなり、高効率が実現できます。

制御部にはアナログ制御の場合は、一般的に電源制御ICが用いられ、デジタル制御の場合は、マイコン、DSPなどが用いられます。制御部はアナログ制御、デジタル制御問わず、出力電圧検出部、位相補償を含む誤差増幅部、電圧-時比率変換部、ゲートドライバから構成され、多くの場合保護回路も含まれます。

4.デジタル制御の応用例

デジタル電源は、既存アナログ補償器のデジタル再設計によるデジタル制御、未知なプラントに対しての安定化、特殊な伝達関数、特殊な駆動方法など電源回路の高性能化に関するもの、外部との通信や設計プロセスの革新などにキーテクノロジーとして活用されています。

5.デジタル電源の今後

デジタル家電という言葉が一般的に使われるようになり久しいですが、周囲の電子機器がデジタル化される中でスイッチング電源だけがアナログ回路として存在し続けてきました。今後、電子機器だけでなく、自動車の電化に伴いスイッチング電源のデジタル化への要求が高まってくると考えられています。

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書籍『デジタル電源の基礎と設計法-スイッチング電源のデジタル制御-』