ロボット基礎技術

ARとは

1.ARとは何か

ARとは、拡張現実(Augmented Reality)と呼ばれる技術であり、現実世界をコンピュータにより拡張する技術、あるいは拡張された現実環境そのものを指します。現実世界から本来得られるはずの感覚情報を、何らかの方法で計算機により変調することで現実世界の一部を改変します。

2.ARの歴史

ARのような考え方が、科学技術によって実現される現実的な未来像として描かれたのは、Bushらが1930年代に発表したコンセプト、「memex」が最初だと思われます。

「memex」は当時考えられる最高の科学技術を用いて、人間の情報検索活動を支援する理想的な外部記憶装置のあり方を示しました。

その後、1957年には、HeiligがSensoramaと呼ばれる多感覚ディスプレイを考案し、1965年にはSutherlandが究極のディスプレイというコンセプトを発表しています。

1990年代は、ARの基礎技術が立ち上がった時期で、軍事、医療、製造業などへ応用されていました。2000年代以降、ARが急速に発展し、ゲームやファッションなどカジュアルな用途に用いられるようになります。今日では、学術用途、産業用途のみならず幅広い分野にARが用いられています。

3.ARの仕組み

ARにはロケーションベース型とビジョンベース型の2種類があります。ロケーションベース型とは、GPSなどで取得した位置情報に紐づけて情報を表示する手法です。

GPSの他に、加速度センサーや磁気センサーなども用います。ビジョンベース型とは、画像認識型とも呼ばれます。カメラなどを利用して、目前の環境を解析し、情報の提示を行う手法です。



4.ARの応用

4-1.医療分野

近年、医療行為は高度な情報処理の連続であり、ARはこれらの高度化した情報を高度な技能に結び付ける重要な支援技術となりつつあります。ARは医療分野では、①診療の現場、②手術の現場、③医学教育の現場、④遠隔医療の現場、などでの活用が期待されています。

4-2.産業分野

ARを利用することにより、人の行動を支援する様々なシステムが実現可能になります。①プラントの保守・解体作業支援やサービス産業、②溶接作業、③製品や建物のデザイン・組立・検査・修理・廃棄の支援などでの活用が期待されています。

5.ARの今後

ARは技術発展とともに益々の普及が期待されています。デバイスの小型化、悪環境下での耐久性の向上、またARに関わる標準化も徐々に進んでいます。またARの安全基準や健康への影響などについての指針の作成や、実装やプログラミングについても、開発効率化のための標準化が待望されています。

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書籍『AR(拡張現実)技術の基礎・発展・実践』


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