切断加工・溶断とは

1. 切断加工・溶断とは

切断加工・溶断技術は、金属や他の材料を切断するための重要な手段です。この技術には様々な種類があり、それぞれが特定の用途や材料に適しています。ここでは、プラズマ切断をはじめとする溶断技術について詳細に掘り下げ、さらに鋼板切断の他の手法についても解説します。

溶断技術には、ガス切断、プラズマ切断、レーザー切断などがあります。開発された順番は、ガス切断、プラズマ切断、レーザー切断の順となります。まずここではプラズマ切断に焦点を当ててみます。

2. 切断加工の種類と特徴

まず、切断について簡単にまとめてみます

鋼板切断にはガス切断、プラズマ切断、レーザー切断の他にもいくつかの手法が存在します。これらの手法はそれぞれ特定のアプリケーションや要件に適しており、異なる特性を持っています。以下にいくつかの代表的な鋼板切断手法を挙げます。

2-1. 機械的切断

  • シャーリング(せん断切断)
    大型のせん断機を使用して、鋼板を直線的に切断します。比較的薄い鋼板に適しています。一番古い切断手法ですが今でも使用されています。金属加工会社で○○シャーリング、○○剪断などの会社名も多数存在しております。
  • ソーイング(鋸切断)
    バンドソーやサーキュラーソーなどの鋸を使用して切断します。厚い材料や形状の複雑な材料に適しています。
  • ウォータージェット切断
    高圧水流、または研磨材を混入した水流を使用して材料を切断します。熱影響を受けず、非常に精密な切断が可能です。

2-2. 電気放電加工

  • ワイヤー放電加工(WEDM)
    電気放電を利用して、非常に薄いワイヤーを電極として使用し、精密な切断を行います。複雑な形状や硬い材料に適しています。

2-3. 超音波切断

  • 超音波切断
    超音波振動を利用して、主に軟質材料や合成材料を切断します。鋼板の切断には一般的ではありませんが、特定のアプリケーションでは有用です。

2-4. 化学的切断

  • 腐食加工
    化学薬品を使用して、材料の一部を除去し切断します。非常に繊細で複雑な形状の切断に使用されることがあります。

これらの技術はなくなることもなく、それぞれ進化を続けております。
これらの技術はそれぞれのメリット、デメリットがあり優劣をつけるのは容易ではありません。
それぞれ特定のアプリケーションや要件に基づいて選択され、技術の進歩によりこれらの方法はさらに効率的かつ柔軟になりつつあります。

3. 溶断の種類と特徴

次に溶断について簡単にまとめてみます。

3-1. ガス切断(酸素&プロパンまたはアセチレン切断)

  • 原理
    酸素と燃料ガス(アセチレン、プロパン、天然ガスなど)を使用して金属を切断します。燃料ガスで金属を予熱し、酸素ジェットで燃えている金属を吹き飛ばして切断します。
  • 利点
    設備コストが低く、厚い金属材料にも適しています。ポータブルで、大規模な機械設備がなくても使用できます。また、多本トーチも可能で一度に複数枚の切断が可能です。
  • 欠点
    切断速度が遅く、切断面の品質が他の方法に比べて劣る可能性があります。また、非鉄金属には適していません。

3-2. レーザー切断

  • 原理
    高密度のレーザー光線を使用して材料を加熱し、溶かして切断します。非常に正確で繊細な切断が可能です。
  • 利点
    高い精度と速度、滑らかな切断面が特徴で、非常に薄い材料や複雑な形状の切断に適しています。
  • 欠点
    設備の初期コストが高く、厚い材料の切断には制限があります。また、運用コストも高いです。

3-3. 総括

ガス切断は伝統的でコスト効率の高い方法で、特に厚い金属に適しています。
プラズマ切断は速度と柔軟性があり、特に薄い材料や非鉄金属に適しています。
レーザー切断は非常に高い精度と速度を持ち、複雑な形状や非常に薄い材料に最適ですが、コストが高いです。

4. プラズマ切断とは

4-1. プラズマとは何か?

プラズマは、物質の状態としては比較的知られていないものの、私たちの日常生活や宇宙の多くの現象に深く関わっています。固体、液体、気体に続く物質の第4の状態として知られ、非常に高いエネルギーレベルでガスがイオン化することによって形成されます。

このプロセスを理解するためには、物質が熱エネルギーを受けるとどのように変化するかを見てみましょう。例えば、氷(固体)は熱を加えると水(液体)に変わります。さらに熱を加えると、水は蒸気(気体)になります。これらの変化は物質内の分子間の距離と運動エネルギーの増加によって起こります。

しかし、気体にさらに高いエネルギーを加えると、物質の状態はさらに進化します。特に、気体を摂氏11,700度程度まで加熱すると、そのガス分子はイオン化し始めます。イオン化とは、原子や分子が電子を失ったり獲得したりすることで、正または負の電荷を持つイオンになるプロセスです。このプロセスによって生じる高エネルギーのイオン化ガスがプラズマです。

プラズマは地球上だけでなく、宇宙の多くの場所にも存在しています。太陽や他の恒星はプラズマの優れた例で、その輝く外層は主にプラズマで構成されています。また、ネオンサインやプラズマテレビの画面もプラズマの性質を利用した技術です。

4-2. プラズマ切断の原理

プラズマ切断は、プラズマ流を利用して導電性のあるワークピースにエネルギーを伝達する技術です。このプラズマ流は、窒素、酸素、アルゴン、空気などのガスを細いノズルから噴出し、電源装置が生成する電流がガスフローをイオン化し、摂氏22,000度に達するプラズマアークを形成します。このプラズマアークがワークピースを溶融し、切断するのです。

4-3. プラズマ切断システムの特徴

プラズマ切断は多用途に使用される工業用切断技術の一つで、ガス切断やレーザー切断と並んで重要な役割を果たしています。プラズマ切断は切断品質、生産性、運用コスト、汎用性のバランスが取れており、広く用いられています。切断機の形態も多様で、手動のハンド切断から、半自動の直線や円形切断機、テーブルタイプ、ガントリー型のNC切断機、ロボットに搭載されたロボットプラズマ切断機と様々な形態で使用されております。

4-4. プラズマ切断の進化

プラズマ切断は元々ステンレス切断に用いられ、使用するガスもエアー、窒素プラズマから始まりました。その後、アルゴン水素プラズマ、水プラズマ、酸素プラズマへと進化し、各材質に適したプラズマ切断が可能になりました。特に酸素プラズマの開発は軟鋼切断分野において大きな進歩をもたらし、その最大の利点は切断速度の速さにあります。

4-5. 技術開発の方向性

プラズマ切断機の開発では、ガス種の多様化、大出力化、消耗部品の高寿命化、高精度化などが進められています。例えば、Hypertherm社の現行モデルでは、30Aから800Aの出力電流で、空気、酸素、窒素、アルゴン、水、H35、F5などのガスを使用できるモデルが揃っています。

4-6. 総括

プラズマ切断技術は、その多様性と高い性能により工業用切断の分野で重要な位置を占めています。切断の質、速度、コスト効率の面で優れ、材料の種類や形状に応じて柔軟に対応できるため、今後も広範囲にわたる用途での使用が期待されています。進化するプラズマ切断技術は、効率的で精密な切断を可能にし、工業分野における生産性の向上に大きく貢献していくでしょう。

プラズマ切断機の一例

株式会社アイテール

弊社は、世界シェアーNo1、アメリカ合衆国ニューハンプシャー州に本社を置くHypertherm社の正規代理店でエアープラズマ切断機から最大800Aの高精度プラズマ切断機まで多彩なラインアップのプラズマ切断機の販売。その中でも低価格でコストパフォーマンスに優れたエアープラズマ切断機並びに低価格なロングライフ酸素プラズマを選定、ロボットとセットにしたロボットプラズマ切断特別パッケージを販売しております。

その他プラズマ台車なども取り扱っておりますので、プラズマ切断に関しては何でもお気軽にご相談ください。

【(著)株式会社アイテール】