ドローンとは

1.ドローンの概要

 ドローンとは、広義には空を飛ぶ無人航空機(UAV : Unmanned Aerial Vehicle)のことを指し、狭義には3つ以上ローターを搭載したマルチコプターを指します。広義には、無人のヘリコプターもドローンの1つと言えます。よく知られているものは、4つの角にモーター及びプロペラを備えたQuad Copterです。さらに、6つ(Hexa Copter)、8つ(Octa Copter)といった多くのプロペラを備えたドローンもあります。
 近年では、「ドローン」という言葉の定義が広くなってきており、「無人かつ自律行動するロボット」という意味を持ち始めているようです。本稿では、空を飛ぶドローンを中心に、水上・水中で活躍するドローンについても紹介します。

2.ドローンの歴史

 ドローンの歴史は古く、軍用機として戦争で使用することを目的に、20世紀初頭から開発が始まりました。その後、イギリスやアメリカでは、1940年頃までにドローンの開発に成功していたと言われています。さらに時代を経て半導体技術の発達と共に、1980年頃から産業用ドローンの開発が行われ、本格的に普及し始めます。日本でも同様に、この頃から多くのドローンが産業用として導入され活躍を始めました。
 このように、ドローンは軍事用から産業用へと用途の変化とともに、より小型で安価なものに進化を遂げています。さらに2010年代に入ると、カメラの搭載されたドローンが発売され、一般の人も手軽に空撮を楽しめるようになりました。

3.ドローンの原理

 ドローンの機体には、主に、制御用コンピュータ、通信装置、飛行に必要なセンサ、モーター、プロペラ、そしてバッテリーが搭載されています。本項では、ドローンの仕組みについて概説します。
 ドローンは、モーターでプロペラを回転させて、飛行します。プロペラを回転させると、プロペラの羽の上下を流れる空気の速度及び圧力に差が生まれます。その結果、プロペラの回転方向と垂直上向きの方向に揚力と呼ばれる力が発生します。この揚力により、ドローンは飛行します。一方、プロペラを回すと、プロペラを回す力の反作用の力により、機体がプロペラの回転方向と逆向きに回転してしまいます。ドローンは、隣り合うプロペラを反対方向に回転させることで機体の回転を抑えています。
 ドローンの操縦には、プロポやスマートフォンのアプリを用います。操縦者が信号を送ると、通信装置を介して、ドローンに送信され、ドローンに搭載されている制御用コンピュータが指示した飛行を実現しています。一般向けのドローンは、XYZ方向と水平方向の回転(Yaw)の操作が可能です。高度は、すべてのプロペラの揚力を変えることで制御しています。また、水平方向の移動は、進みたい方向のプロペラの揚力を下げ、逆側のプロペラの揚力を上げることで制御しています。さらに、水平方向の回転は、プロペラを回す力の反作用の力を利用して、回転したい方向と、逆向きに回転するプロペラの回転数を上げ、同じ方向に回るプロペラの回転数を下げることで制御しています。
 ドローンが飛行する上空では、風が常に変化しながら吹いています。そのため、制御なしでは風に流される、機体が傾くなどといった風の影響を受けます。これらを防ぐため、ホバリング機能が搭載されています。GPSから位置情報を取得し、IMU(慣性計測装置, Inertial Measurement Unit)から角速度や加速度を取得することで、ドローンがどのように移動・回転しているかを常に計算し、その位置・角度を維持するという機能です。この機能なしには、ドローンを思ったように飛ばすことができなくなるため、ドローンにとって重要な機能の一つです。

4.ドローンの種類と活用

4-1 空撮

 ドローンは空撮用途で最も多く使われています。テレビや映画などの映像の撮影には、飛行性能の高いドローンが用いられます。ドローンにジンバルと高画質なカメラを搭載することで、ぶれの無い美しい映像が撮影できます。ドローンは3次元的に飛行することができるため、俯瞰した映像を撮影できることが強みです。また、測量や検査などのための写真撮影にも多く用いられています。測量・検査用ドローンは、他のドローンよりも高精度なセンサを搭載しており、正確な位置情報が取得できます。撮影した画像と組み合わせて使用することで、誤差数センチの地図の生成、コンクリートのひび割れなどの検出ができます。

4-2 軍事

 ドローンは、もともと戦争に使用する目的で開発された経緯もあり、現代でも軍事目的で利用されています。主に偵察目的で使用されることが多く、戦場などで高高度から地上を監視したりするのに使われています。さらに、飛行距離、速度、可搬重量の向上とともに、ドローンの自爆攻撃や爆弾の投下などといった使われ方もされるようになりました。

4-3 農業

 日本では、1980年代から農業用ヘリコプターが導入され始めました。現在でも、病害虫防除の農薬を散布する際に多く用いられています。地域ごとに農薬散布日を決め、地域一体に一度に農薬を散布することができます。これにより、各農家・農地ごとに農薬を散布する必要がなく、省力化に貢献しています。また、近年、研究が盛んにおこなわれているスマート農業でもドローンは活躍します。リモートセンシングにより、植物の生育状態を取得することができます。また、ドローンは肥料や農薬を指示した場所に投下することができます。これまで農家は重い肥料をもって田畑に入り、肥料を散布していましたが、農家の代わりにドローンが肥料を散布できるようになりました。生育状態に応じて肥料の散布量を変える可変施肥技術も開発され、作業の精度が上昇しました。ドローンは省力化と労働環境改善に大きく貢献しています。

4-4 輸送

 輸送・宅配の分野でも活躍しています。日本のみならず、世界各地でものを運ぶ試験やサービスが行われています。特に、山間部や離島などでは、ドローンは大きなアドバンテージを持っています。ドローンに搭載できる荷物の重さに制限があるものの、軽量で小型の荷物や郵便の輸送に向いています。

4-5 ホビー

 今では多くのホビー用ドローンが発売されています。ホビー用ドローンは、手に入れやすい価格で操作も簡単なものが多いです。主に空撮の用途で用いられ、ダイナミックな空撮画像・動画を撮影することができます。FPV(First Person View)に対応した製品では、専用ゴーグルを使うことで、まるで鳥や昆虫のような視点でドローンを操作できます。リアルタイム・高解像度の利点を生かし、FPVドローンによるレースも開催されるほどです。

5.「ドローン」現在地

5-1 空飛ぶドローン

 空を飛ぶことができるドローンは、地上から見るのとは違う角度で対象を見ることができて便利なものです。産業用としては、農業におけるセンシングや生育情報のモニタリング、2D・3Dマップの作成、建造物や設備の点検などに用いられています。より身近なものでは、映画やプロモーション動画の撮影などに利用されます。さらに近年では、山間部や離島などへの輸送・宅配でも活躍しています。空を使った物流、空撮ドローンの国産開発メーカーには、株式会社ACSLなどがあります。

5-2 水中ドローン

 水中ドローンは、水中での画像や動画の撮影が可能です。機体が小さく、機動力に優れているという利点を生かして、水中での撮影や測量に用いられています。また、ホビー用としても人気が高く、釣りにおいて、水中の様子の確認や魚群の探知などに使われています。動画投稿サイトYouTubeには、水中ドローンを使用して撮影した動画が多く投稿されています。水中探索や魚の群れの追跡、堤防や岩場などの調査といった内容の動画が多く、普段はみることができない水中の美しい映像を見ることができます。
 さらに、無人であることを生かして、危険が伴う海域の確認や潜水が難しい深海などでも使用され、水中の調査・研究に活用されることも多いです。深海まで潜れる国産の水中ドローン開発メーカーには、株式会社FullDepthなどがあります。

5-3  水上ドローン

 水上ドローンは、空・水中と比べてまだ数は少ないものの、利活用の可能性も秘められています。株式会社エイトノットは、国内で初めて水上タクシーの試験営業を開始しました。エバーブルーテクノロジーズ株式会社は、風の力を利用したヨット(帆船)タイプの水上ドローンを開発しています。
 炎重工株式会社が開発・製造・販売している国産の自動運転船舶ロボットMarine Drone(水上ドローン)は、1人で運べる小型サイズのものからミニボートサイズまでを提供しています。養殖魚へ給餌、水田での農薬散布、水質調査、水中や海岸線の監視など、人が行っている水辺の作業をサポートします。輸送・宅配の分野では、荷物を離島へ運ぶ実証実験を成功させました。炎重工株式会社が参加している「海床ロボット」プロジェクトでは、人・物の移動に限らず、カフェ営業や魚釣り、コンサート開催といったエンターテインメントの提供など、水上ドローンによる水辺の新しい使い方を模索しています。

 空飛ぶドローンも、水上・水中のドローンも、安全かつ便利に使えるようにするための法整備が進められています。様々な研究や実証実験も進行しています。ドローンが私たちの生活に、より身近になる日も近いのではないでしょうか。

【(著) 炎重工株式会社】