セルロースナノファイバー材料のLCA評価などの手法検討および評価に本格着手
―カーボンニュートラル社会の早期実現に向け、CNFの有用性を訴求する―

更新日:2023.06.15
図 ライフサイクル思考に基づくCNFの有用性

NEDOは「セルロースナノファイバー材料のLife Cycle Assessment(LCA)等評価手法の検討及び評価」(以下、本事業)で、セルロースナノファイバー(CNF)の社会実装を加速すべく、五つの研究開発テーマを採択し、本格的に着手します。

本事業は、CNFの特徴である二酸化炭素(CO2)削減効果やリサイクル性の高さなどを、既存の石油原料由来の材料などと比較した結果を可視化し、脱炭素社会におけるCNFの役割を明確にすることで、CNF関連事業を加速させることを目的としています。

NEDOは本事業を通じて、CNFの有用性を広く訴求し社会実装を推し進めることで、カーボンニュートラル社会の早期実現に貢献します。

1.概要

2050年カーボンニュートラル実現に向けて、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、2020年度から「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発※1」を開始し、CNFの社会実装に向けた技術開発を進めています。

今般、脱炭素社会実現に向けたCNF材料の貢献度や役割を明確化することを目的に、ライフサイクル思考(図)に基づいたLCA評価※2などの手法検討および評価に本格着手します。

本事業では、さまざまな産業のデータベースや、各製造工程などにおける物質・エネルギー・資金のバランスに関するデータなど、プロセスデータを測定・解析することでLCA評価を行います。さらに、CNF材料の特徴であるCO2削減効果やリサイクル性の高さなどを、既存の石油原料由来の材料などと比較して可視化します。加えて、CNF関連事業などを取り巻く産業連関分析(IOA:Input-output analysis)※3や、マテリアルフロー分析(MFA:Material flow analysis)※4などを実施することで、国内産業や経済への波及効果を明確にします。

LCA評価手法や分析結果などの成果は、国内外の関連学会や学術雑誌などにおいて積極的に発表し、CNFの有用性を広く訴求することで社会実装を推し進め、カーボンニュートラル社会の早期実現に貢献します。

2.採択テーマ

  • 【1】事業名セルロースナノファイバー材料のLife Cycle Assessment(LCA)等評価手法の検討及び評価
  • 【2】予算2.4億円(予定)
  • 【3】期間2023年度~2024年度(予定)

【4】研究開発テーマ名および実施予定先

【5】研究開発テーマ

研究開発項目1:ライフサイクル思考に基づく評価要件の設定
既存の石油原料由来材料からCNF材料への代替効果を定量的に求めるために、材料の物質フローやリサイクル性なども加味することで、時間的・空間的に材料のライフサイクル全体を評価できる手法を整理し、必要な要件を定義します。
研究開発項目2:LCA実施
さまざまな産業データベース(CO2排出量、電力消費量など)を用い、CNF関連事業に参画している事業者などの各製造工程における物質・エネルギー・資金のバランスなどのプロセスデータを測定・解析します。CNFの原料や種類、製造方法、リサイクル利用などを考慮した、CO2削減量などを試算します。その上で、既存の化石燃料由来樹脂や炭素繊維素材などとの比較により代替効果を定量的に解析します。
研究開発項目3:産業連関分析(IOA)の実施
CNFを導入したときに起こりうる産業構造の変化に関してIOAを試行し、国内の産業や経済への波及効果を可視化します。
研究開発項目4:評価の推進
評価結果をプレゼンテーションなどに用いることが可能な視覚的にわかりやすい図表としてまとめ、ニュースリリース、普及資料の作成などを行い、広く社会へ発信します。
研究開発項目5:学会・論文等における公表
評価結果は、国内外の関連学会や学術雑誌などに公表し、広く専門家からの評価を受けながら科学的妥当性を検証します。また評価内容を活用し、カーボンニュートラル社会に向けた素材としてのCNFの役割を明確にします。