イジング計算機で組み合わせ最適化問題の「真の最適解」を高精度に探索
~局所最適解から効率よく脱出する技術を開発~

更新日:2022.6.3

ポイント

  • 現状のイジング計算機は、真の最適解を探索する途中に局所最適解から抜け出せないという問題があった。
  • 本研究では、2つあるいはそれ以上のスピンを結合して1つのスピンとして扱う手法を開発することで、局所最適解から脱出し真の最適解を得やすくする仕組みを構築し、この仕組みをイジング計算機に組み込むためのアルゴリズムを開発した。
  • 本技術をさまざまなイジング計算機に適用することで、高精度に現実世界の組み合わせ最適化問題を解くことができ、同時に将来のイジング計算機アーキテクチャーの発展にも大きく寄与する。

イジング計算機は、真の最適解を探索する途中に局所最適解から抜け出せないという問題がありました。これを解消するため、早稲田大学 理工学術院 講師の白井 達彦 氏、同大学 理工学術院 教授の戸川 望 氏らの研究グループは、2つあるいはそれ以上のスピン(イジング計算機の計算の単位、各スピンは+1あるいは−1の値を持つ)を結合して1つのスピンとして扱うことで、局所最適解から抜け出し真の最適解を得やすくする仕組みを開発しました。

さらに、本研究グループは、この仕組みをイジング計算機に適用するためのアルゴリズムを開発し、計算機シミュレーターおよび既存イジング計算機でその有効性を確認しました。 本研究成果は、米国のIEEE Computer Societyが発行する「IEEE Transactions on Computers」online版(Early Access)に2022年5月27日(金)付(現地時間)で掲載されました。