AIが生成した材料の構造画像を用い、物性を予測する技術を開発

2021.8.31更新

材料開発のさらなる高度化・高速化の要求に応えるため、急速に発展したデータ駆動型の研究開発によって、ディープラーニング(深層学習)などの情報処理技術を利活用する動きが活発になっています。これらは、さまざまな材料データをコンピューターに学習させることで、高性能な新しい材料の提案を可能とするAI技術で、人の勘や経験に頼る従来の材料開発をさらに高度化することができます。しかし、コンピューター上で扱える材料は構造が定義できる低分子化合物や周期構造を持つ金属、無機化合物に限定されることが大きな課題でした。

このような背景のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」(2016年度~2021年度)で、カーボンナノチューブ(CNT)をはじめとする機能性材料開発の高速化を目指し、データ駆動を活用した研究を進めています。本事業で先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、日本ゼオン株式会社(日本ゼオン)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と共同で、より汎用(はんよう)性の高い材料へディープラーニングを適用する手法を開発しました。

今回開発した技術では、まず複雑な構造を持つCNT膜の構造画像と物性をAIに学習させます。その上で、種類の異なるCNTを任意の配合で混合した場合のさまざまなCNT膜の構造画像をコンピューター上で生成することで、実際の実験と比べて98.8%もの時間を短縮し、その物性の高精度な予測を可能にしました。この技術は、従来のAIでは適用できなかった複雑な構造を持つ材料の組成選定・加工・評価といった一連の実験作業をコンピューター上で高速・高精度に再現(仮想実験)することを可能にするもので、材料開発のさらなる加速が期待できます。


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