燃料電池の飛躍的な普及拡大に向けた新たな研究開発に着手

更新日:2021.7.19

NEDOは燃料電池の飛躍的な普及拡大に向け、新たに24件のテーマを採択しました。2020年度から実施中のテーマを踏まえて、今後さらに補強すべき分野として、セパレータやガス拡散層(GDL)などの先端的な研究開発のほか、農機や建機、港湾荷役機器、ドローンなど多様な用途での燃料電池の活用を目指す実証事業に着手します。

概要

燃料電池は、燃料が持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、原理的に高いエネルギー効率を得られます。また発電時に二酸化炭素を発生させないため、温室効果ガス排出抑制への貢献が期待されています。日本では家庭用燃料電池エネファームを2009年に、燃料電池自動車(FCV)を2014年に世界に先駆けて市場投入しました。しかし今後の自立的な普及拡大に向けてはさらなる高効率・高耐久・低コスト化が必要です。また、製品を市場投入したことで多数の課題が顕在化しています。

こうした中、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2019年1月にトヨタ自動車株式会社や株式会社本田技術研究所、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)らとともに「FCV課題共有フォーラム」を開催し、燃料電池に関する技術課題のうち、おのおので協調して取り組むべき課題の抽出・共有を行いました。また、経済産業省とNEDOは2019年6月に「水素・燃料電池プロジェクト評価・課題共有ウィーク」を開催し、ユーザー側からのニーズ提示や研究機関などからの新たなシーズ発掘など、産学官全体にわたる技術開発の活性化に向けた議論をしました。これらの議論を踏まえ、経済産業省の水素・燃料電池戦略協議会は2019年9月に、重点的に取り組むべき技術開発事項を定めた「水素・燃料電池技術開発戦略」を策定しました。

EDOは本技術開発戦略に基づいて産業界の共通課題を解決し、2030年以降燃料電池を飛躍的に普及拡大させるため、2020年度から燃料電池システムに関する大規模な研究開発事業である「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」を実施しています。

そして今般、燃料電池のさらなる高度化に向けて、主に2020年度に採択したテーマではカバーされていない分野を対象に公募を実施し、触媒や電解質膜と並ぶ重要な部材であるセパレータの表面処理技術開発やガス拡散層(GDL)※に関する研究開発などの先端的なテーマを採択しました。また、燃料電池を多様な用途へ展開し普及拡大を図るため、従来のFCVや定置型燃料電池以外の用途として、農機や建機、港湾荷役機器、ドローンなどへの燃料電池の活用にも取り組みます。

この追加公募により、24件の新規テーマを開始します。本事業の推進を通じ、世界に先駆けて市場導入を開始した日本の燃料電池技術の競争力をさらに強化し、世界市場で確固たる地位を確立するとともに、水素社会の実現に貢献します。

事業概要

事業名:燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業
実施期間:2020年度~2024年度(予定)
予算:66.7億円(2021年度)

研究開発項目〔1〕:共通課題解決型基盤技術開発
研究開発項目〔2〕:水素利用等高度化先端技術開発
研究開発項目〔3〕:燃料電池の多用途活用実現技術開発