無人自動運転移動サービスが永平寺町で本格運用を開始

2021.3.25 更新

ポイント

  • 遠隔運転者1名による3台の遠隔監視・操作型自動運転
  • 遠隔運転者は作動継続困難時に対応するのみで、常時監視が不要に
  • ドライバー不足に対応し交通弱者の移動手段確保と地域の活性化につながる新しい交通手段の実現に貢献
  • 国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 石村 和彦】(以下「産総研」という)情報・人間工学領域 端末交通システム研究ラボ 加藤 晋 研究ラボ長(ヒューマンモビリティ研究センター 首席研究員)、橋本 尚久 主任研究員(ヒューマンモビリティ研究センター)らは、福井県吉田郡永平寺町で試験運行を実施している遠隔型自動運転システムによる無人自動運転移動サービスの車両を高度化し、遠隔監視・操作型の自動運行装置を備えた車両(レベル3)としては国内で初めて、2021年3月5日に認可を受けました。この度、当該車両を用いて、2021年3月25日より福井県永平寺町が本格運行を開始します。

    産総研は、経済産業省および国土交通省の「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」を幹事機関として受託し、永平寺町における無人自動運転移動サービスの社会実装に向けて、ヤマハ発動機株式会社、株式会社日立製作所、慶應義塾大学SFC研究所、豊田通商株式会社、永平寺町役場、まちづくり株式会社ZENコネクトなどと共に、研究開発と実証を進めてきました。

    端末交通システムとは、バス停や駅から自宅や目的施設までの間や、地域内といった短中距離の移動を補完するラストマイルモビリティーとも呼ばれる次世代の交通システムです。本事業では、公共的な利用を前提に、地域の活性化などにつながる端末交通システムとして、ドライバー不足解消やコスト削減などに資する自動走行技術を取り入れた遠隔型自動運転システムなどの研究開発を行ってきました。また、研究開発された端末交通システムの社会実装に向けて、2016年度に自治体や地域団体を公募し、選定地の一つとして福井県吉田郡永平寺町の協力を得られることになり、連携して実証を重ねてきました。

    本事業では永平寺町の実証環境の特徴から過疎地モデルと分類し、えちぜん鉄道の廃線跡地の町道である永平寺参ろーど(約6㎞)を走路とし、高齢住民、通勤・通学者や観光客の移動手段としての端末交通システムの実証実験を行ってきました。これにより、歩行者などとの共存空間における自動走行や遠隔監視・操作の技術を実現することで、少子高齢化地域の活性化も目指してきました。

    昨年12月22日からは、福井県永平寺町が、まちづくり株式会社ZENコネクトに業務委託し、永平寺参ろーどの一部約2㎞区間にて、遠隔型自動運転システムの移動サービスの試験運行を開始していました。具体的には、遠隔監視室にいる1人の遠隔監視・操作者が、車両外から通信技術を用いて、3台の無人自動走行車両(レベル2)を常時監視・操作する移動サービスです。

    今回、センサー類を改修・追加するなど車両の高度化を図り、遠隔監視・操作型の自動運行装置を備えた車両として、国土交通省中部運輸局に申請し、3月5日に認可されました。その後、公道走行に必要な手続きを経て、運行体制の整備などを永平寺町やまちづくり株式会社ZENコネクトと共に行い、3月25日より、国内初の自動運行装置を備えた車両(レベル3)※での本格運行を開始することになりました。レベル3の自動運行装置を用いることで、3台の自動運転車が作動継続困難な場合を除き、遠隔にいる運転者による常時監視が不要となり、運転の負担が軽減されます。

    今後は、限定地域での遠隔監視のみの自動運転移動サービスの実現に向けて、さらに他の地域での社会実装を目指した技術開発・実証を実施していきます。


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