手根管症候群を検査するスマホゲームを開発

2021.3.16 更新

ポイント

  • 手のしびれや指の動きにくさを引き起こす手根管症候群の、簡便な検査方法が望まれていた。
  • 症状のない12人の被験者からスマホゲームで親指の動きのデータを取得して機械学習で疾患の有無を推定するツールを開発し、高い推定精度を得た。
  • 自宅などで簡単に検査し、専門医受診、重症化予防へつなげるシステムを目指す。
  • JST 戦略的創造研究推進事業において、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科の藤田 浩二 講師、慶應義塾大学 理工学部 杉浦 裕太 准教授の研究グループは、スマートフォンアプリを使った親指の運動解析と異常検知手法を用いた機械学習を組み合わせ、手根管症候群を簡便にスクリーニングする方法を開発しました。

    中高年女性に多い手根管症候群は、手首の神経が圧迫され手のしびれや指の動きにくさを引き起こす疾患です。神経伝導速度検査で正確な診断が可能ですが、高価な機器と専門的な技術が必要なため、十分に普及していません。専門知識や技術なしでも検査できる、簡便なスクリーニングツールが望まれます。

    研究グループは、疾患の悪化に伴って親指の動きが悪くなることに着目し、その特徴を解析しました。親指を使ってプレイするスマートフォン用のゲームアプリを開発し、ゲーム中の親指の軌跡データを取得して、機械学習で疾患の有無を推定するプログラムを作成しました。30秒から1分程度の簡単なゲームで遊ぶだけで手根管症候群の可能性を検査できます。疾患保有者のデータの蓄積がなくても、異常検知手法を用いることで、症状のない12人の被験者のデータから効率的に推定モデルを構築しました。

    開発したツールにより、自宅や保健所など、専門医のいない環境でも手根管症候群の可能性をスクリーニングできるようになります。今後、疾患が疑われる場合には専門医受診を促し、重症化予防へつなげるシステムの開発を目指します。女性に多い疾患の重症化に伴う不自由さや社会的な損失を防ぎ、女性が活躍する社会にも貢献できると考えています。

    本研究成果は2021年3月14日(米国東部夏時間)、国際科学誌「JMIR mHealth and uHealth」にオンライン掲載されます。


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