自分の身体ではなく、自分の行為への気付きが、運動能力を向上させる

2021.1.15 更新

見ている身体を自分の身体であると気付くとき、人間は以下の2つを経験し、これら2つの経験が運動能力の向上に関わっていると仮定されていました。

1.見ている身体を自分の身体の一部だと感じる(身体所有感)。

2.自分が身体を動かしていると感じる(運動主体感)。

自己身体の気付きにおける、これら2つの経験のうち運動主体感だけが、運動能力の向上に関わっていることが本研究で判明しました。

本成果は、運動機能障害のリハビリテーションや身体能力開発において、運動主体感の人工的操作が有効である可能性を示唆しています。

運動能力の改善を目的とした「自己身体の気付き」(自分の身体感覚)の人工的操作に関する研究が世界中で活発に行われています。これまで「身体所有感」と「運動主体感」の両方が運動能力の向上に関わっているとされていましたが、自分の手などの動いている身体部位を見ると「身体所有感」と「運動主体感」を同時に感じてしまうことから、2つの気付きを実験的に分離することは極めて難しく、両方の気付きが運動能力に影響を与えることを実証した研究はありませんでした。

東北大学 大学院情報科学研究科の松宮 一道 教授は、バーチャルリアリティー技術を用いて、見ている手に対して「身体所有感」はあるが「運動主体感」がない状態やその逆の状態を人工的に創り出す手法を開発し、「運動主体感」だけが運動能力の向上に関わることを世界で初めて明らかにしました。本発見は、運動主体感の人工的操作が運動能力の改善に有効であることを示しています。この成果は、運動機能障害のリハビリテーションや身体能力開発などにおいて、身体感覚の操作手法における新たな道を開くことが期待されます。

本研究成果は、2021年1月11日(英国時間)に「Scientific Reports」電子版に公開されます。


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