オンデマンド乗合型交通「AI運行バス」に車いす利用者向け機能を追加

更新日:2021.1.8

NEDOは、人工知能技術を用いた便利・快適で効率的なオンデマンド乗合型交通の実現に取り組んでおり、NTTドコモなどと共同で、車いすで乗降しやすい車両を自動で配車するなどの追加機能の検証を行い、実用化に成功しました。今般、これらの検証が完了し、目標の機能を果たせることが確認できたことから、NTTドコモの運用する「AI運行バス®」に先行実装いたしました。

この機能は、車いす利用者の要望に応えて、車いすで乗降しやすいユニバーサルデザイン車両の自動配車や最適な運行スケジュールの管理などをAIが行うもので、これにより、車いす利用者が安心・快適に利用できるオンデマンド乗合型交通の実現に貢献します。

NEDOは、今後も人工知能(AI)技術の開発・社会実装によって、早期社会課題解決への貢献を目指します。

1.概要

観光や日常生活における多様な移動の社会課題の解決には、便利で効率的な移動手段の提供が必要とされ、近年、鉄道やバスなどの異なる移動手段を統合して提供するMaaS(Mobility as a Service)が、その課題解決につながるとして注目されています。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、人工知能(AI)の社会実装に向けた研究開発プロジェクト※1を2018年から開始しています。NEDOは、このプロジェクトの一環で、「人工知能技術を用いた便利・快適で効率的なオンデマンド乗合型交通の実現」(2018年度~2022年度実施)をテーマに、株式会社NTTドコモ、横浜市、横須賀市などと共同で、2018年度から「AI運行バス」※2を用いた実証実験を実施し、技術の確立とビジネス性の検証を進めてきました。

こうした中で、2019年10月にユニバーサルデザイン車両配車の機能検証などに関する実証実験を行い、車いす利用者が他の利用者と同様に利用できる配車機能の検証を想定通りに完了しました。実証実験では実際に車いすでのサービス利用もあったことから、有用性があると判断し、テーマの実施予定期間終了を待たず前倒しで、10月14日から「AI運行バス」の追加機能として先行実装し、実証成果を1年で実用化しました。

NEDOは今後も継続的に、研究開発を通じた技術の実用化に向けて人工知能技術の社会実装を加速し、新たな市場の創出や社会課題を解決するための人工知能技術の速やかな社会実装に取り組んでいきます。

2.追加機能の内容

誰もが安心して「AI運行バス」を利用できるよう、予約画面で車いす利用者であることを選択すると、車いすで乗降しやすいユニバーサルデザイン車両を自動的に配車できるようになりました。さらに、ユニバーサルデザイン車両が車いす利用者に優先的に配車されることで地域全体の運行スケジュールが複雑化しますが、車いすの乗降に伴う停車時間などの条件も考慮した上で、最適な運行スケジュールを管理する機能を実現しました。