異なる環境でも同一品質での切削加工を可能にするAIシステムの開発に着手

更新日:2020.12.11

NEDOの「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」で、(株)LIGHTzは異なる加工機や環境においても同一品質で金属を切削加工するための、精度補正AIシステムの開発に着手します。本システムによって、国内メーカーが保有する加工技術ノウハウをAI化し、サービスとして提供する日本発・世界初の製造業プラットフォームの実現を目指します。

1.概要

政府は、「Society 5.0※1」を実現するため、IoTや人工知能(AI)などさまざまなテクノロジーによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決を目指し、「Connected Industries」政策を推進しています。「Connected Industries」重点5分野の一つである「ものづくり・ロボティクス」分野では、付加価値のありかが「もの」自体から「サービス・ソリューション」へと移る中、最大級の付加価値を創出し現場力の向上を後押しする取り組みを推進しています。

金属切削加工は日本のものづくりを支える主要技術の一つであり、日本の主力産業である自動車産業も金属部品や金型などの高度な切削加工技術によって支えられています。近年は、日系自動車メーカーの海外生産が国内生産を上回り、アジアを中心とした現地調達化が急速に進んでいます。このような中で、高度な切削加工技術を保有する部品加工や金型メーカーもOEMないしTier1メーカー※2に帯同して海外進出する必要があるものの、中小規模の企業が多いため、経営資源的な観点から積極的な進出は難しいのが実情です。たとえ海外進出したとしても、日本国内の製造環境に最適化された加工条件などが、機械や環境の差に対応できず、頻繁に技術者を現地に派遣して加工条件などを調整するなどの対策を取らざるを得ず、加工品質を保つために多くの時間と労力を費やしています。また、技術漏えいの懸念や、そもそも加工に関するノウハウが明文化・体系化できていないために属人的な対策にならざるを得ないといった課題も抱えています。

このような背景のもと、今般、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の横断型AIシステム開発を支援する「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業※3」で、株式会社LIGHTzは異なる加工機や環境においても同一品質で金属切削加工するための精度補正AIシステムの開発に着手します。(株)LIGHTzは、共同委託研究先として株式会社O2・株式会社IBUKI(金型メーカー)・オークマ株式会社(工作機械メーカー)・由紀ホールディングス株式会社・国立大学法人東京大学と共同で、国内メーカーの金属切削加工技術者が持つ現場ノウハウをAI化しサービスとして提供する、日本発・世界初の製造業プラットフォームの実現を目指します。

本システムが実現することで、国内メーカーは現地に頻繁に技術者を派遣することなく、ほぼ自動の加工補正とスムーズな量産立ち上げが可能となります。また、本システムを通じ国内メーカーが独自に培った技術ノウハウを秘匿し海外へ生産移管することが可能となり、加工技術ノウハウを守秘しつつ社外にサービス提供することで新たな収益源確保にもつながります。さらには、加工ノウハウを有する国内メーカーの、同一企業やグループ企業による国内外の複数拠点での同時立ち上げや、不測の事態における迅速な移行も可能となることから、世界各地に対応するしなやかで強靭なサプライチェーン構築にも貢献できます。

2.採択テーマと助成事業者

事業名:Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業/業界横断型AIシステムの開発/金属切削加工における精度補正システム開発
【助成事業】助成先:(株)LIGHTz(共同・委託研究先:由紀ホールディングス(株)、オークマ(株)、(株)IBUKI、(株)O2、東京大学)
事業期間:2020年度~2021年度