ロボット : 産業ロボットのカタログ一覧

1.産業用ロボットの概要

 産業用ロボットとは「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定して、または運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と定義されている。

 また、現在は協働ロボットのカテゴリーが存在しているが、第三者認証機関において、協働ロボットの言葉をなくす動きが見られ、協働機能を持つ産業用ロボットへの名称変更が予定されている。産業用ロボット安全認証規格の点からは、ISOやアメリカのANSIがリスクアセスメント・ロボットの規格・システムやインテグレーションにおける基準や規格が存在している。

2.産業用ロボット用途

株式会社 東和コーポレーション

 日本ロボット業界の資料によると、日本の産業用ロボットは2015年からの第3次ロボット成長期が続き、特に2019年からのコロナ禍にともなう3密の回避を目的とした産業ロボットの導入や活用が多く見受けられた。また、昨年5月のコロナ5類移行にともない、自動化の流れが活発化し、自動車業界では、大きな課題であった搬送と組付けを同時に行う自動化難易度が高い工程での導入もすすんでいる。
 次に自動化が進んでいない一部の食品業界においての大きな課題として、多品種切替生産における自動化の限界、設備に頼れず多くの人手を必要とする大きな工程課題が残っていたものの、新たな協働機能を持つ産業ロボットの出現があったことで、安全柵を必要とせず、足りない人員をロボットでカバー出来た面も見受けられた。
 またロボット周辺機器においても、人の視覚や触覚を再現するような技術機能の進歩も併せて大きな自動化の潮流ができ、自動車・食品市場のみならず、あるゆる業界での産業用ロボットの普及が進みつつある。

 東和コーポレーションは「手袋の製造技術をロボットへ応用」し、解決の提案をしております。 独自の特殊技術によりグリッパーやロボット本体の防水性・食品衛生法への適合・滑り止めにより把持力を向上させ、生産性を向上する「ロボグローブ」です。 ロボットへの利用について事例を紹介します。バンドソーで冷凍魚をカットしている加工 工場で危険な作業であるため、今まで人が行っていた作業のロボット化を進めたいと考えておられました。また、純正のグリッパーでは食品衛生法に対応していないという懸念点 もありました。 我々の提案により危険な作業をロボット化することが出来た上で、日々の負担となるメン テナンスを低減することが出来ました。

【(著) 株式会社 東和コーポレーション】

ロボット : ロボットアーム・ハンドのカタログ一覧

1.ロボットアーム・ハンドの概要

ロボットアーム・ハンドは一言で表すと労働ツールであり、人間でいうところの腕と手に当たり、二つ以上の軸と自立性がある運動機構があり、掴む、運ぶという機能を有することが多いものです。最近ではセンサー、知能、制御、駆動の技術要素を含むものが増えています。

2.ロボットアーム・ハンドの原理

ロボットは人間の腕や手に近い働きで、作業を行うものであり、腕はリンク(骨格)とジョイント(関節)で成り立っています。アームは人間の腕、ロボットハンドは人間の手と同じ原理となり、モノを掴む、把持する、移動させる、離すための機構となります。構造として、それぞれにアクチュエータ、制御装置、エンコーダ、伝導機構から成り立っています。

3.ロボットアーム・ハンドのメリット・デメリット

3-1.ロボットアーム・ハンドのメリット

ロボットアーム・ハンドによるメリットとしては、付け替えることで様々な作業に対応できること、また、聴覚、触覚、視覚を兼ね備えたものが現れたことで、精度や不良品の流出防止効果が飛躍的に向上したものもあります。今後、自動化の需要増加にともない、更なる新技術が取り入れられ、ロボット化では不可能と言われた熟練作業への対応も可能となってくることが見込まれます。ここ数年でのロボット技術の進歩は目覚ましいものがあり、活躍の分野を大きく広げています。

ロボット全体が変身する様子
ロボットハンドのツメが変身する様子

3-2.ロボットアーム・ハンドのデメリット

一方、デメリットでは人の手と違い、アームの可動域に対するスペースが必要となったり、単純な作業ごとのハンドが別となったり、台数が必要となるため、費用やスペースがかさむこと、ハンドの先のチャックを作業によって作り込むことが多いため、費用が高額になる場合がある

4.ロボットアーム・ハンドの種類

ロボットアーム・ハンドの種類について、産業用ロボットにおいては、垂直多関節、単軸、直交、スカラ、双腕が増えており、最近では協働ロボット(協働機能を持つ産業用ロボット)など、作業用途により選択され、ハンドにおいても用途により電動型と空圧把持型が選択されています。さらに把持型の2ツメ、3ツメ、4ツメ、吸着型、ラバーアクチュエーター型に加えセンサー類も力・触覚センサーが組み込まれたものもあり、使用される環境により選択肢が細分化されてきています。

ロボットハンドが変身する様子

5.ロボットアーム・ハンドの用途

ロボットアーム・ハンドの用途は多岐にわたり、部品の組付け搬送、塗装、溶接、ネジの締め付け、加工機へのローダ、ワークの着脱、包装、検品、ロット刻印、ピッキング、食品の加工や盛り付けなど、様々な分野での自動化において活用され、または活用に取り組まれています。東和コーポレーションではロボット本体やハンドの課題を解決するための防水性向上、防塵対策、把持力改善に向けてのアプリケーションなどを提供しております。

【(著)株式会社 東和コーポレーション】

ロボット : ドローンのカタログ一覧

ドローン(水中ドローン・無人航空機・マルチコプターなど)のカタログ検索・一覧ページです。本ページではロボットに関連するドローン(水中ドローン・無人航空機・マルチコプター)の製品カタログをご覧いただけます。各製品カタログの詳細ページでは、概要や仕様の確認、お問い合わせやお見積り依頼も可能です。Robot-techではロボットに特化したカタログデータベースを提供することで、検索性を高め、目的の製品カタログをいち早くお探しすることを可能にしております。

1.ドローンの概要

ドローンとは、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)とも呼ばれ、人間が搭乗して操作しなくても、自律的に飛行することができる航空機です。
法的にはラジコンヘリコプター等と同列の扱いであるものの、ドローンといえば、いわゆるマルチコプター機が連想されることが多い様です。
いずれにせよ、日本では2022年6月に改訂された航空法により、100g以上の無人航空機は登録が義務化されたほか、ドローンの運用にあたっては様々な法令や条例の規制を受ける可能性があります。
日本におけるドローンの法規制は、現在急ピッチで整えられている側面もあり、今後もドローンの法的な定義を含めて変更される可能性があります。
ドローンをその制御方法で分類すると、リモコン操作による「遠隔操縦型」と、AI制御による「自律飛行型」に分けられますが、それらを任意に切り替えることができるタイプのドローンも存在します。

2.ドローンの用途

ドローンは、様々な用途に利用されています。例えば、航空写真や衛星画像よりも高精度な地図作成、測量、各種映像制作、農業における作物の状態モニタリングや散布、建設現場での進捗管理や安全性確保、災害時の被災状況把握や救援活動支援、更には物流や配達等、多岐に渡る用途があり、この中には既に広く実用化されている分野も多数あります。

また、最新のAI技術やセンシング技術、材料工学と組み合わせて、より高度な自律制御機能や自己修復機能を持ったドローン、昆虫サイズの超小型ドローンや人や荷物を運搬できる大型ドローン等、新たなドローン開発にも繋がっていて、今後は新たな用途も、次々と開拓されていくものと予想されます。

但し、ドローンは軍事利用や犯罪利用等の「負の側面」も持つ為、技術の発展だけを喜んでいられる産業分野ではありません。事故が起きた場合の責任の所在等、その運用ルールを巡っては法整備の遅れも指摘されています。しかし、ドローン技術の進化によって、人類の未来に新たな可能性が広がったと言えるでしょう。

ドローンの開発にはCAD関連技術が広く活用されています。CADを使用することで、3次元モデリングやシミュレーションが可能となり、効率的な開発プロセスを実現できます。

例えば、CADを用いてドローンの機体形状や部品構成を設計し、デジタルモデルを作成することができます。また、CADソフト上でのシミュレーションを通じて、ドローンの飛行性能や操縦性を検証・改良点を把握することができます。

(図上)ドローン機体-3D CAD検討(図下)ドローン機体-CGアニメーション検討
【(著) 株式会社 シンクリP・A】

ロボット : 画像認識のカタログ一覧

1. 画像認識についての概要

画像認識はAIが画像を理解して、写真や動画に何が映っているかを識別する代物です。
画像認識AIは人間の”目”に相当する機能を持ち、たくさんの画像データを学習することで動作します。例えば、映っている画像が猫かどうかを判断したい場合は、猫の画像を大量に見せて、猫に共通する特徴(ヒゲや耳の形・毛並みなど)を事前に覚えてもらうプロセスが必要となります。学習プロセスを経た画像認識AIはそこで得られた事前知識をもとに、新たに入力された画像に対して、予測判定を行うことができるようになります。
現在では、この画像認識AIがスマートフォンの顔認証・医療画像診断など様々な分野で役立てられており、自動運転の障害物判定など更なる応用が期待されています。

2. 画像認識の種類/用途

2-1. 検出

画像上に映る物体の「位置」と「それが何であるか」を判定するタスクです。車や自転車、人などを認識したうえで、それらの物体が画像内でどこにあるかを枠で囲って示すことができます。この技術を応用すると、車の台数把握/車速の測定/人数のカウントなどを行うことができます。

2-2. 分類

映し出された画像が「どのカテゴリに属するか」を振り分けるタスクです。例えば、犬や猫・車や花など、あらかじめ定められたカテゴリ(クラス)に対して、画像がどのクラスに該当するかを判断することができます。医療画像の診断や人物の属性(年齢・服装・性別など)分類に応用されます。

2-3. セグメンテーション

物体同士の境界がはっきりと識別できるように「色塗り」をするタスクです。セグメンテーションでは、対象物の形状や輪郭をより正確に捉え、画像全体を細かく解析することが可能です。例えば、道路・人・建物や、車のパーツ(タイヤ・窓・ヘッドライト)など画像中の全てのピクセルを事前に定義されたクラスに割り当てます。

(画像②:Kaggle Datasetより引用)

3. 画像認識の原理

画像認識AIでは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)という技術が主に用いられます。CNNではまず入力された画像を小さな領域に分割し、畳み込み層で特徴を抽出します。この層では例えば線・角などの特徴的なパターンを検出します。次に、プーリング層で重要な特徴だけを残す情報圧縮を行い、計算効率を上げます。
最後に全結合層で、抽出した特徴を組み合わせて、物体の検出や分類など様々なタスクを行います。

【(著)Intelligence Design株式会社】

ロボット : スマートグラスとは

1.スマートグラスの概要

スマートグラス

スマートグラスとは頭部に装着したディスプレイやカメラにより取得された情報を表示、発信することが可能なウェアラブル端末のことです。スマートグラス装着者は現実世界の視覚を確保し、ハンズフリー(両手が自由に動かせる)で作業を行いながら機器の操作を行うことができるため産業用途から一般用途まで幅広い分野で活用されています。スマートグラスはARグラスと混同されがちですが、ARグラスは現実世界にデジタル情報を重ね合わせ仮想現実を表示させる端末で、スマートグラスは頭部に装着した端末に様々な機能を追加した端末となり厳密には異なります。

2. スマートグラスの原理

スマートグラスは頭部に端末を装着し、目元の小型ディスプレイに取得した情報を表示して使用します。ディスプレイはグラス面に画像を投影したヘッドアップディスプレイタイプとLEDや有機ELなどの小型ディスプレイに情報を表示させる非透過のものがあります。
端末には様々なセンサーや機能が組み込まれていることが多く、例として加速度センサー、ジャイロスコープなどがあります。また無線通信機能が組み込まれたものが多くインターネットに接続して外部データとの送受信を行うことで様々な活用ができます。
電源は内蔵バッテリーが組み込まれており必要な電力を供給します。製品よっては電源を入れたままバッテリーの取り外しができるホットスワップ機能を有したものがあります。
スマートグラスの操作は両手を自由に動かせるという利点を生かすために声による音声操作が一般的な操作方法となります。

3. スマートグラスの用途

スマートグラスは様々な分野において活用することができます。
音声操作により両手を自由に使えるという点で作業を行いながら作業手順やマニュアルを確認することや、作業内容を記録することで遠隔地の管理者に作業状況を共有することができます。またカメラが搭載されたスマートグラスでは作業者の目線映像をビデオ通話で共有することができるため遠隔での作業サポート、作業現場の状況共有を行うことができます。

スマートグラスの用途

4. スマートグラスの種類

スマートグラスの種類

スマートグラスには片眼タイプと両眼タイプのものがあり片眼タイプは現実世界の視野を広く確保することができるため産業用途として使用され、両眼タイプは表示を大きく見せることができるためコンシューマーやエンターテイメント分野で使用されています。

5. スマートグラスのメリット・デメリット

スマートグラスのメリットとしては両手を自由に使って作業を行いながら操作することができます。またインターネットに接続することで作業者目線の映像を遠隔地に共有することができます。
デメリットとしては装着者がこれまでに使ったことがない機器のため操作や装着に慣れる必要がある点です。
また機器やサービスの費用がかかるため活用する用途に応じて選定が必要となってきます。

【(著) フィールドクロス株式会社】

センシング&解析 : カメラのカタログ一覧

カメラ(ステレオカメラ・画像認識など)のカタログ検索・一覧ページです。本ページではロボットに関連するカメラ(ステレオカメラ・画像認識)の製品カタログをご覧いただけます。各製品カタログの詳細ページでは、概要や仕様の確認、お問い合わせやお見積り依頼も可能です。Robot-techではロボットに特化したカタログデータベースを提供することで、検索性を高め、目的の製品カタログをいち早くお探しすることを可能にしております。

1.ガス漏洩検知カメラの利点・欠点について

ガス漏洩検知カメラとは赤外線カメラの1種で、ガスがある特定の波長の赤外線を吸収するという性質を利用してガスを可視化して検知することができる技術です。このカメラは比較的新しい技術で、従来の固定設置型のセンサーやポータブル検知器のようにガスを接触させて検知するものと比較すると、より広範囲を効率的に検知できることが大きな利点です。また、離れた場所から検知することが可能で、プラント内の危険な場所を点検する際には作業員の安全を守ることができます。そして、プラントにおけるガスの漏洩を検知し、適切な措置を行うことで事故の防止や逸失利益の削減、さらにはカーボンニュートラルに貢献することができます。一方で課題点としては、製品の価格が高く導入へのハードルが高いことが挙げられます。

2.ガス漏洩検知カメラのドローンへの応用について

ガス漏洩検知カメラには、ポータブル型、固定設置型、ドローン・ロボット搭載型などの種類がございます。ドローン搭載型のものではドローンを飛行させることによって、人が立ち入れない高所やポータブル型・固定設置型よりも広い範囲の点検が可能になり、従来の技術より安全かつ効率的にガス漏洩を検知することができます。こちらは世界的に非常に珍しい製品でドローンが普及していく中で活躍が期待されております。その一例として、弊社の扱う「OGI640」がございます。このカメラはアメリカのLinkedAll社によって開発されたもので、対象ガスは主にメタンやプロパンなどの炭化水素系の可燃性ガスです。また、世界的に大きなシェアを占める中国DJI社のMatrice300 RTKなどへ搭載できるように専用に開発されており、DJI社製の操縦ソフト「DJI PILOT」上でドローンの操縦とカメラ制御の両方が行えるユーザーフレンドリーなカメラです。用途としては、主に石油・ガス・製造業などの企業が所有するプラントのガス漏洩点検がございます。アメリカではエクソンモービルやBPなどの石油メジャーで導入実績がございますが、日本ではまだガス漏洩検知カメラ自体が周知され始めたという印象を受けます。ドローンを活用したスマート保安や環境問題への取り組みが進む中で、今後普及していくことが予想されます。

ドローン搭載型ガス検知用カメラ「OGI640」
プラントから漏洩するガス(OGI640撮影)
【(著) 株式会社アイ・アール・システム】

センシング&解析 : 3次元(3D)計測・測定のカタログ一覧

3次元計測・3次元測定(3D計測・3D測定)システムのカタログ検索・一覧ページです。本ページではロボットに関連するモーションキャプチャー、3Dスキャナーなどの3次元計測・3次元測定システムの製品カタログをご覧いただけます。各製品カタログの詳細ページでは、概要や仕様の確認、お問い合わせやお見積り依頼も可能です。Robot-techではロボットに特化したカタログデータベースを提供することで、検索性を高め、目的の製品カタログをいち早くお探しすることを可能にしております。

1.3次元解析の概要

3次元CADデータをもとにした解析には、以下のような種類があります。

1.1 構造解析

物体の応力、変形、耐久性などを解析する技術です。主に機械工学、土木工学、航空宇宙工学、自動車工学などで使用されます。

1.2 流体解析

液体や気体の流れを解析する技術です。主に航空宇宙工学、自動車工学、エネルギー工学、環境工学などで使用されます。

1.3 機構解析

駆動力、動的干渉などを解析する技術です。主に機械工学、ロボット工学、自動車工学などで使用されます。

1.4 電磁界解析

電磁場の分布や電磁界における物体の挙動を解析する技術です。主に電気工学、通信工学などで使用されます。

1.5 熱解析

物体や空間内の熱伝導、熱放射、熱移動を解析する技術です。主に機械工学、エネルギー工学、建築設計などで使用されます。

1.6 最適化解析

目的関数や制約条件を最適化する解析技術です。主に設計最適化、材料最適化、形状最適化などの分野で使用されます。

コンピュータの演算性能の発展に伴い、3次元解析の技術は現在も発展を続けています。
3次元解析は、さまざまな解析結果を可視化することで「品質向上」「開発期間短縮」「コストダウン」といった直接的な効果が期待できます。「勘」や「コツ」に頼っていた設計を理論化する際の助けにもなります。
また、宇宙空間や原子炉の中など「人が生身で立ち入ることができない場所」「実験が難しい場合」でも、物理現象の解析や最適化の評価が可能になっています。

2.3次元解析とロボット関連技術

ロボット関連技術では、開発・設計の段階から、部品製作、組み立て、完成後の安全性の評価まで、あらゆる場面で3次元解析は欠かせない技術となっています。
近年のCADソフトには、解析機能を搭載しているものも数多くあり、誰でも気軽に解析を試みることができます、但し、使いこなすには境界条件や物理的なパラメータの設定といった数学的処理の知識が必要で、コンピュータの操作技術に慣れている必要もあります。その為、実際の現場では、3次元解析の専門知識をもったエンジニアが解析を担当するのが一般的となっています。
また、最も留意しておくべきことは、上の項目で紹介した解析のいずれにおいても、3次元CADモデルをもとに数値計算を行うということです。そのため「CADモデルの精度・品質そのもの」が解析結果の精度に影響します。解析結果により高い精度を求める場合は、CADの扱いに習熟した、3次元解析の専門家に依頼することをおすすめします。

図:ロボットアームの動作シミュレーション
図:ロボットアームの動作シミュレーション
図:強度・応力解析シミュレーション
図:強度・応力解析シミュレーション
図:二形状による強度・応力解析シミュレーションによる比較
図:二形状による強度・応力解析シミュレーションによる比較
【(著) 株式会社 シンクリP・A】

センシング&解析 : CADのカタログ一覧

CAD(2DCAD・3DCADなど)のカタログ検索・一覧ページです。本ページではロボットに関連するCAD(2DCAD・3DCAD)の製品カタログをご覧いただけます。各製品カタログの詳細ページでは、概要や仕様の確認、お問い合わせやお見積り依頼も可能です。Robot-techではロボットに特化したカタログデータベースを提供することで、検索性を高め、目的の製品カタログをいち早くお探しすることを可能にしております。

1.CADの概要

CAD(キャド)とはComputer Aided Design(コンピューター支援設計)の頭文字から取った略語で、コンピューターを用いて設計図面を作る際に使う、ソフトウェアやシステムを指します。

CAD技術の登場以降、設計図面がデジタルデータとして作成・保存・印刷できるだけでなく、3次元で設計されたCADのデータをそのままNC旋盤と連動させるCAM技術へと発展し、現在ではCAD技術とそれをとりまくCAD関連技術が金型製作等に活躍し、多くの製造業の土台技術へと変わりました。

更にコンピュータの高性能化につれて、物理演算を用いた様々なシミュレーションも可能になり、建築業や自動車産業のような巨大産業は勿論のこと、ファッション業界や小規模なものづくり現場でも、CAD技術が応用されています。

2.ロボット制作とCAD関連技術

ここでは、ロボットやドローン等の制作現場で使われる、CAD関連技術の用途例をいくつか御紹介します。

  • 3Dプリンタによる試作部品等
    樹脂材料だけなく金属材料での造形も可能となった3Dプリンタ技術は、近年急速に発展を遂げた技術の1つです。CADデータ、3Dプリンタ技術との活用により、試作品・小ロット品の低コスト且つ短納期での制作を実現。
  • アニメーション動画作成
    CADで設計したデータから、製品を仮想空間内にモデリングするだけでなく、それらを実際に動かしたり、他の背景と合成させたりしてアニメーションを制作することも可能です。汎用性の高い項目で、開発段階でのイメージ動画・プロモーション用動画など、広く活用。
  • シミュレーション(解析)
    各パーツを組み上げ、制御や動作をコンピュータ上で実現させるだけでなく、それぞれにかかる荷重や応力、熱伝導や流体の動き等をシミュレーションし、数値化して求めることができます。問題点の早期把握、試作コストの削減に役立つ技術。
  • リバースエンジニアリング
    実物である製品や部品を3Dスキャナで取り込み、精密なCADデータを得ることも可能です。既存の製品情報をデジタルデータ化して保存、シミュレーションに活用、新たな商品開発に用いられる等、多様な活用法が期待。

近年のCADソフトは、上記の様な技術に対応しているものが多数あります。但し、効果的な運用には「各機能に精通した技術と経験」「CADデータの精度の高さ」等が求められます。その為、リバースエンジニアリングや解析を始めとした各分野は、経験豊富な専門家に依頼するのも賢明な選択肢といえます。

(図上)試作ロボットのCAD設計/モデリング(図下)腕部の組み立て(造型:3Dプリンター
【(著) 株式会社 シンクリP・A】

センシング&解析 : 設計ツール・設計技術のカタログ一覧

1.ロボット・ドローン生産技術における、設計ツール・設計技術の概要

現代のロボットやドローンの開発サイクルの大半において、CAD/CAM技術をベースとした支援ツールが活用されています。実質的に、どのツールを選択するか、またはどのように組み合わせるかによって、活用できる設計技術が決まってくるため、設計支援ツールの選択は慎重に行う必要があります。

設計支援ツールの選択では、最終製品の実現に必要となる、複数の機能が備わっていることが重視されます。これらのツールの基本機能であるアプリケーション・ロジック、すなわちデータベース、演算、モデリングなどの機能に加え、UI(ユーザーインターフェース)の充実など、さらには他のソフトウエアとの連携機能も検討材料となるでしょう。

2.ロボット・ドローン生産技術における、設計ツールの種類

設計ツールとなるCADソフトには、分野ごとにさまざまな種類がありますが、ロボット・ドローン生産において需要があるのは主に機械用CADです。ほかに、汎用CADや回路設計用CADも活用されます。

以下に、国内外で評価の高い、代表的な設計ツール・CADソフトを簡単に紹介します。

  • AutoCAD
    米Autodesk社が提供する汎用CADソフト。世界的に高いシェアを持ち、日本語版にも対応。Autodesk社は他に、プラスチックや金属などの設計に強い機械用CAD、Inventorシリーズ,Fusion360なども販売。
  • IJCAD
    インテリジャパン/システムメトリックス社による国産CADソフト。AutoCADとの互換性がよく、サポートやコスト面でのも優れているため、国内企業を中心に高い導入実績がある。
  • CATIA V5,V6(3D Experience)
    仏ダッソー・システムズ社が提供するハイエンドCADプラットフォーム。自動車大手や航空宇宙業界での高いシェアが示す通り、包括的で実用性に優れた機能は折り紙つき。連携可能な外部アプリケーションも豊富で、カスタマイズや拡張性も秀逸。MS社Officeのスクリプト機能を使いCADの作業効率アップに使う。(例:肉厚表示、部品設置、回転機能など)
  • SOLIDWORKS
    仏ダッソー・システムズ社の子会社が提供する機械用CAD。ハイエンドであるCATIAに対し、こちらは普及型とされるが、機能性と操作性には定評があり、世界的なシェアを持つ。

上記以外にも多様な設計支援ツールが存在します。各ツールのライセンス料は、契約条件により変わり、一般的に高機能なものほど高額です。ただし、実際に導入する際には、単に高機能を求めるのではなく、他ハードとの相性や運用する人材面の課題など、自社のリソースに照らして検討する必要があります。

画像:Fusion360より、ドローンの3Dモデリング作業(画単位にて肉厚や寸法編集により周囲の形状も連動して修正が可能)
画像:CATIA V5のみならず、CAD標準機能にテンプレートを作成、使用可能。最初から形状生成の手間を省き生産性効率が可能
【(著) 株式会社シンクリP・A】

加工&生産 : 生産・CAMのカタログ一覧

1.CAM技術の概要

CAMとは、Computer‐Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)の略で、CADで作成した設計データをもとに、工作機械を動作させるプログラムを作り出すツールのことです。
CADによって設計データが完成しても、すぐに工作機械がその造形物を作ってくれるわけではありません。旋盤加工機や3Dプリンタなどの工作機械で造形・製造を行うには、切削する場所や積層する場所、またはその手順などを適切に指定してあげる必要があります。そのプログラムを作るのがCAMの役割です。

CAMは、現代のモノ作り、特にドローン・ロボット生産においては、CAD(Computer‐Aided Design)やCAE(Computer‐Aided Engineering)と並んで必須とも言える技術です。それぞれの工程を区別するための用語としても用いられますが、実際にはCADとCAM、そしてCAEはそれぞれがお互いに連動した技術でもあり、ツール間での互換性が求められるだけでなく、技術者側もそれらのツールの概要を理解しておく必要があります。

2.CAM技術の種類

ドローン試作型のCAMシュミレーション

CAMには大きく分けて、平面データを扱う「2D-CAM」と、立体データを扱える2.5D-CAMや、3軸以上の「3D-CAM」が存在しますが、ドローン・ロボット生産において主に活躍するのは後者の3D-CAMです。10数年前では、試作図面から、2Dや、2.5D-CAD-CAMを使い、NC旋盤用切削プログラムを作成しておりましたが、現在ほぼ主流となっている3D-CAD-CAMは、扱える軸数や付随する機能によってさらに細分化され、3Dプリンタ分野では「スライサ-」と呼ばれることもあります。

CAMは、切削加工がメインな作業であり、昔では、製造されたい形状が大型の場合や複雑な形状をしている場合は、CADソフトにて、組み立てが可能な設計検討をし、試作品を製作していたことが、今では、3Dプリンターが普及後、機械に収まる大きさであれば、一体加工ができるようになり生産性や加工性、組立性におきましても作業効率は大幅な向上をされたと思います。

他には、3DCAMが扱うことができる図面のデータ型(フィーチャ型・サーフェス型・ポリゴン型)による分類もあります。互換性を重視しさまざまな工作機械に対応できる「汎用CAM」や、逆に、特定の用途や機械に特化した「専用CAM」など、多様なCAMが存在しています。

多様なCAMソフトの中でも、人気があり使い勝手がよいとされるのは、先述したCAD・CAM・CAEなどを同時に扱える複合型ソフトです。ただし複合型ソフトのライセンス料は高機能なほど高くなる傾向があり、導入の障壁となる場合もあります。

【(著) 株式会社シンクリP・A】

デザイン : デザインのカタログ一覧

1.ドローン・ロボットのデザイン工程の概要

現代におけるドローンやロボットは、研究が目的のものや個人の自作品を除けば、実用や販売を目的とした工業製品と言えます。したがってその設計やデザイン段階においては、一般的なプロダクトデザインと同じような工程がとられます。近い将来、ドローンやロボットが自動車や電化製品のように大量生産される時代になれば、インダストリアルデザインの工程も確立されるでしょう。

プロダクトデザイン(またはインダストリアルデザイン)の工程は、まず市場調査が行われ、そこから得られたコンセプトをもとに開発が始まります。デザイナーは、生産者、設計者、営業担当者などとも打ち合わせを重ねながら、製品の強度や安全性、製造上の技術的課題、見た目の美しさなどの課題をクリアして、デザインを完成させていきます。

デザイン作業は、古典的な手描きスケッチや模型作りなどから作業を始める場合もあるものの、ロボットやドローン開発では、CADソフトなどを用いた3DCGが好まれます。CADを用いれば、製品の動作シミュレーション、試作品作り、各部品の設計や金型制作、デモムービーの製作、そしてそれらの修正や微調整といった作業を一貫して行うことができるため、効率的です。

2.デザインの用途

(左)デザインイメージ(右)3D CAD/3Dプリンタ用データ

ロボットやドローンのデザインには、この分野における知識や経験が特に必要とし、多くは専従チームにより開発・デザインが進められます。しかし、企業が専門のデザインチームを抱えるのは、コストやリスクマネジメントの面からみると必ずしも最適とはならないのが実情です。よって、インハウスデザインを選択できるのは、一部の大企業に限られています。

ロボット・ドローン開発は、デザイン(設計など含めた工程)を、外部のデザイン事務所や製作所、またはフリーランスに任せる、外注の手段が選ばれることもあります。

デザイン工程の一部を専門に引き受けている企業は数多く存在するため、選択肢が豊富にあるのも発注側企業にとってメリットとなります。そうした企業はそれぞれ得意分野を持ち、特徴的なスキルを備えた人材を揃えていたり、最新鋭の設備やシステムを導入していたりするため、コスト面以外の特長もしっかり見定めるとよいでしょう。実際に外注を検討する際には、事前にその実績などをよく確認する必要があります。

【(著) 株式会社シンクリP・A】